2010年5月に、晴れてメンテナンス会社に正社員として就職した私は、地元での一人暮らしも始め、これから訪れる新しい生活が楽しみでした。
まったく経験がない分野の仕事でしたが、今までの接客や電話対応の経験を生かせばとりあえず何とかなるだろうと安易に考えていました。
想像を絶する職場
とあるメーカーの下請けで住宅設備機器(おもにガス器具)をメンテナンスする仕事だったのですが、仕事の内容は想像を絶するものでした。
何せ私は体力もなく、屋外作業と車の運転を延々行うような仕事を行ったことがなかったため、精神的にも体力的にもとても辛いものでした。それでも「慣れれば何とかなる」と自分に言い聞かせながら耐え忍びました。
あまり詳細は書けませんが、顧客に虚偽の報告をして器具を買い替えさせたり、客先の器具の故障を誘発させたりするよう、会社から強制されました。また、元請けからのオーダーに対しても虚偽の報告をするために、偽の伝票を大量生産させられました。
毎日早朝に出社して、日付が変わるまで働かされ、残業代も支払われず、どう考えても「納得できない」仕事だったわけですが、世の中の景気や自分自身の状況をかんがみると、退職に踏み出す勇気がありませんでした。
思考しているようで、思考停止してしまってたんだと思います。
「お前は今までどうしようもない中途半端な人生を送ってきたからうちで雇ってやってるんだ」
「お前のようなヤツ、うちを出たらどこも使ってくれないぞ」
そんなことを上司や社長から毎日言われ続けました。
自分に自信が無かった私は、「そうなのかな…」「あぁそうなんだ…」と思い、どんどん自信を失っていく一方でした。
私も変に真面目なので、せっかく就職できた職場だから、頑張って3年は続けようと思いました。
ストレスのはけ口は、衝動買いくらいしかなかった
普通に生活していても心が折れてしまうので、支えとして、ローンを組んで車を購入しました。
出た当初から憧れてたBP型のレガシィですが、中古価格も大分落ち着き、何とかローンで買える金額でした。
「こんな会社でも正社員だったら意外と簡単にローン通るんだな」と思って変に味をしめてしまったのを覚えています。
ずっと欲しかった車が手に入った喜びは、やっぱり大きかったです。何とか明日への励みにして頑張っていくしかないと思いながら、自分には合わない仕事を無理やり続けていました。キツイキツイと思っていた美容師の仕事がぬるく思えるくらい、私には大変な仕事でした。
我慢して続けても…
しかし、2年経っても 3年経っても仕事が楽になることはありませんでした。
厳密に言うと、仕事をこなす能力自体は上がっているのですが、ノルマがどんどんキツくなっていき、食事も睡眠もままならない状況に追い込まれていきました。
4年目でとうとう身体を壊しました。前回の適応障害の時とは比べものにならないくらい、目眩と吐き気に襲われ、まともに立ち上がることもできませんでした。「もうここで辞めるべきだろう」自分もそう思いましたし、周りもそう言ってくれました。
しかし、車のローンもまだまだ残り、次に転職できる確信もなかった私は、何とか続けることにしました。
抗うつ薬を飲みながら、何とか仕事をこなしました。復帰してから 1か月くらいは少しは仕事を軽くしてもらえました。(それでも20時~21時くらいには帰らせてもらえるかなといったレベル)
少し体調がよくなってきたところで、仕事量は元通り。
この辺で私もわけがわからなくなってきました。そのような過酷な業務を強いるような会社ですから、「人間関係がよい」職場であるはずはありません。「何のためにこの仕事をしているのか?」どんどん真意がわからなくなってきました。
EX1 を衝動買い
ある日の通院帰りに、ふと時計店に立ち寄りました。

ROLEX EXPLORER1 Ref.214270
ローンで衝動買いしてしまいました。
「ここまで頑張ったんだ。これくらい買ってもいいよね。これで仕事はまた頑張ろう」
そう思いました。
ここまでくると、身の丈以上の物を手に入れて、自己満足に浸るしか自分の心を支える手段がありませんでした。
やっぱり駄目だった
酒もタバコも、何度やめようとしてもやめられず、薬の量も増え、自分の身体もどんどん破滅に近づいていました。
何とかまた1年、この仕事を続けたわけですが、さすがに5年目で限界がきました。もう、ローンがあるとか、就職先がないとかそういったことを考える状況ではないくらい、心身の状態が悪くなり、会社には全く出社できない状態となりました。
少し悩みましたが、「いやもうそんなこと考えてる場合じゃないだろ」というのが自分の正直な心の声でした。
5年は耐え忍びましたがもう限界です。退職しました。
転職先は何もプランがなかったです。ローンはいっぱいあります。
何とか状況を打破しようと、株やFXのデイトレードにお金をつぎ込みましたが、全くうまくいきませんでした。
「自分はこの世に価値がない人間なのか…」「俺が間違っているのか…」
自分の存在価値がわからなくなりました。
それでも食事をして、睡眠をとって、何とか自分自身を安定させるしかなかったです。
退職したことを親や友人にもなかなか言えず、ずっと鬱々とした日々を送っていました。
もう 30歳を過ぎてしまった。今までやってきたような仕事はもうやりたくない。今さらIT系の職場に雇ってもらえるとは思えない。絶望的でした。
幸い、失業保険などでなんとか食いつなぐことはできたので、ゆっくりと生活してこれからのことは考えようと思いました。
休養中に閃いた!
誰の言うことも気にせず、世の中の目も気にせず、生きるのは自分自身だ!
また東京から地元に帰った時のように、最小限の生活にして身軽に生きればいいじゃないか!そう思いました。
これが正解でした。
ずっとやめられなかったタバコもあっさりやめて、また不用品を処分していく作業にかかりました。
遠回りでしたが、この期間があったからこそ、今は人生で一番充実している時だと実感できます。
次回が最終回です。現在のシンプルライフに至った経緯について書きます^^
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