管理人のコーヒーハンドドリップ歴は12年。最近、「自己流で身につけたコーヒーの淹れ方は、本当に正しいのか?」と疑問を持つようになったところ、ちょうどいい一冊に出会うことができました。
今回は、ワールドバリスタチャンピオンである井崎 英典氏の著書『世界一美味しいコーヒーの淹れ方』を読んで自分のコーヒーの味が変わったので、本の感想と共に紹介したいと思います。
世界一美味しいコーヒーの淹れ方 井崎 英典 著
ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方
ワールド・バリスタ・チャンピオンの井崎 英典さんが書かれたこちらの本。
簡単に感想をまとめると
- どの要素でコーヒの味がどう変わるのかが分かる
- 淹れ方だけでなく、コーヒー豆の選び方や最適な保存方法も書かれている
- 湯量や注湯時間が具体的に記載されているので、安定した淹れ方が分かる
私のように自己流でコーヒーを楽しんできたけど、身につけた知識が正しいのか疑問に思う方は、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
豆に関する知識(生産国や製法など)、味わいの表現方法、淹れ方について基礎となる知識が身に付くため、詳しい方とコーヒーの話をする上での一つの指標ができると思います。
本著で紹介されている淹れ方を全て紹介するのは難しいため、読んで参考にしたいと思った部分と実際に淹れてみた感想をご紹介したいと思います。
味をコントロールする6つの要素
コーヒーには味をコントロールする要素が無数にあります。
たとえば豆の産地、焙煎度合い、焙煎からの時間、豆の挽き方、お湯の温度や湯量など、パッと思いつくだけでも沢山の要素が…
素人目には、どこが変わるとどのように味が変わるのかというのはとてもわかりづらいです。
本書では、わかりやすく“6つの要素”として、人に例えて以下のように表現されています。
- 生産国:骨格
- 品種:人種
- 生産処理:性別
- 焙煎:体型
- 粒度:化粧・髪型
- 抽出:アクセサリー(腕時計)
このような例えがあると、「どこでどう味が変わるのか」というのは結構イメージしやすいと思います。
パッと見影響度が大きいと思われる「抽出」も、実際はアクセサリー程度の影響で、豆の生産国や品種の方がコーヒーの味そのものに大きく影響する土台となっていることがわかります。
本書では、❶〜❸は自分の意思でコントロールできないコーヒーの味部分、❹〜❻が自分の意思でコントロール可能な部分と表現されています。
そのため、❶〜❸で豆を選び、❹〜❻の部分をうまくコントロールできれば、自分の理想の一杯に早く近づくことができます。
科学的に正しい豆の保存方法とは?
コーヒーにこだわる方は、大体の方がお店で豆を挽いてもらわず、豆のまま購入されると思います。
そこで迷うのが「冷凍、冷蔵、常温のどの方法で保存するのがいいのか?」ということ。
この辺の考え方はバリスタさんやロースタリーによって結構違ってくるので、私も頭を悩ませました。
本書では酸化を避けるために、以下の保存方法が推奨されています。
- 購入時の袋のまま保存(遮光タイプの袋だとなお良し)
- 高温多湿に気をつけ、できるだけ低い温度で保存する
そしてバリスタの裏技として、冷凍保存が紹介されていました。
豆を保存する温度が低くなればなるほど、豆を挽いた時の粒度分布(挽き具合の幅)が狭くなることが、実験により判明したそうです。
抽出の命「グラインダー」
上の項目で粒度分布について触れました。粒度分布を左右する機器がグラインダー(コーヒーミル)です。
私は現在、カリタの電動グラインダーC-90を愛用しています。
こちらもセラミック製の臼歯式になっていて、狙い通りの粒度で挽くことができます。
本書で推奨されているグラインダーはカリタの「NEXT G」や、「Comandante C40」などのフラッグシップ。
いいミルに投資することで粒度分布が狭くなり、後口の悪さの原因である「微粉」を極限力減らすことができるそうです。
今までミルについては「プロペラ式じゃなければいいだろう」くらいにしか思っていませんでした。
微粉を極限まで減らすことでクリアな味わいが実現できるのであれば、良いグラインダーに投資してみたいと思いました。
手回しのミルなのにほぼ4万円の価格は、奥様からの許可が絶対に下りなそうです…
実際にコーヒーを淹れてみる
得た知識を元に、実際にコーヒーを淹れてみたいと思います。
なお、文章だけではわかりづらい部分は、こちらの動画にて詳しく紹介されています。
豆を計量する
豆は焙煎度によって質量が異なるため、スプーンではなくスケールで計量。
使用する豆は、手に入りやすくお馴染みの味であるカルディの「カフェオレブレンド」を選択。焙煎はやや深めです。
今回500gのコーヒーを淹れたいので、お湯100gに対してコーヒー豆6〜8gの比率から、中間である7gを選択して35gとします。
グラインダーで豆を挽く
カリタのC-90の中では、かなり粗い方の挽き目で挽いています。
粒度は素人が数値的に表現するのが難しいです。お湯が落ちるスピードと出来上がりの濃度感とのバランスを考えて調整します。
C90は微粉が出やすいため、粒度分布が狭いグラインダーに変えた場合にどのように味が変化するのかとても気になっています。
お湯を沸かし、フィルターに湯通し
使用するドリッパーは、ハリオのV60セラミックドリッパー
HARIO(ハリオ) V60透過ドリッパー02セラミックW 食洗機対応 1-4杯用 ホワイト 日本製 VDC-02W 1~4杯用
セラミックドリッパーは最初なかなか温度が上がらないけど、きちんと湯通しして温めることで抽出温度の低下を少なくすることができます。
基本的にドリッパーはカリタかハリオのどちらかで、ハリオの方が抽出が早くクリアな味わいとなるため好みです。
「フィルターに湯通しするかどうか?」は結構悩みどころだったのですが、ドリッパーとサーバーを温める目的でもやはりやった方が良いと思います。
挽いた豆をドリッパーにセットし、揺する
フィルターの湯通しが終わったら、挽いた豆をドリッパーにセットし揺すります。
動画内でも言われている通り、「トントン」と軽くならすのではなく、ドリッパーをしっかり両手で持って揺することで、平らなコーヒーベッドを作ることができます。
蒸らし:20%を注ぐ〜揺すり
蒸らしで注ぐのは、コーヒーの抽出量の20%である100g。
タイマーを1分にセットし、お湯を丁寧に100gに達するように注いでいきます。
お湯を注ぐスピード(流速)については、本書で細かく説明されています。
今回の抽出量であれば、だいたい30秒ほどで1投目を注ぎ終えるくらいのペースです。
なお、一般的な抽出ではフィルターの壁にお湯をかけるのはご法度とされていますが、フィルターの壁までお湯をかけることが推奨されています。
注ぎ終えた直後、フィルターとドリッパーを手で支えながら「くるくる」と3回ほど揺すって、粉に水分が均一に行きわたるようにします。
揺すりが終わったらタイマーが0になるまで待ちとなります。
抽出1回目:20%を注ぐ
蒸らしで注いだのと同じ量の100gを、抽出の第一段階目に注いでいきます。
蒸らしの時より、お湯を注ぐスピードは速くなります。
今回の量で行くと、1分にタイマーをセットして、20秒で注ぎ終わるくらいが目安となります。注ぎ終わったら、そのままタイマーが止まるまで待ちます。
抽出2回目:60%を注ぐ〜揺すり
抽出2回目は、抽出量の60%である300gを注いでいきます。
注ぐスピードは抽出1回目と同じになります。
タイマーを2分にセットして、だいたい50秒くらいで注ぎ終わるイメージです。
ここでドリッパーからお湯が溢れそうになる場合、豆の粒度が細かくてお湯が落ちる流速が遅くなっている状態です。
私も最初にこの淹れ方を試した時に、ドリッパーからお湯が溢れそうになったので粒度を調整しました。
注ぎ終わった直後に、蒸らしの時と同様サーバーとドリッパーを押さえて揺すります。
揺することで、コーヒーの粉がドリッパーの側面に張り付くことを防ぎ、お湯が落ちきるまでお湯と粉が均等に触れ合う状態を作ることができます。
そして、これも一般的な抽出ではNGとされていますが、注いだお湯が全てドリッパーに落ちきるまで待ちます。
きっちりと計量し、抽出時にコーヒー豆の”水に溶けることができる部分”を均一に混ぜ合わせることができるため、落としきりでも問題ないそうです。
お湯を落としきったら、ドリッパーを外して完成です。
こちらの抽出方法で淹れたコーヒーのお味は?
本書の淹れ方に倣って淹れたコーヒーは、自己流で淹れたものとは異なる味わいとなりました。
「どう異なるか?」は語彙力がないので説明が難しいのですが、明らかに後味のクリアさが増したように感じます。
また、豆が変わっても雑味が出ず、安定した味で淹れることができています。
元々、コーヒーの理想が「しっかりしたボディ感と後味のクリアさの両立」だったので、こちらの淹れ方が私にはかなり合ってたんだと思います。
豆の挽き方や分量、湯温、流速などの要素をコントロールすることで、自分好みの味わいにより近づきます。
まとめ:基準となるコーヒーの味を決めたい方にオススメの一冊
本書の淹れ方で最もオススメしたいポイントは、「分量や時間などが明確に数値化されているため味がブレにくい」事にあると思います。
「湯温は豆の挽き方に合わせてこのように。湯温を上げるとこのように変化する」などの指標がわかりやすく表現されています。
定量化されているため、「自分のコーヒーの味」の基準が決まり、豆が変わっても安定して豆の良さを引き出すことができます。
また、冒頭でも触れた通り、抽出方法よりウエイトが大きい豆の生産国や品種による味の傾向の違いについてもわかりやすく紹介されているのもオススメポイントです。
長年自己流でコーヒーを楽しんできたので、「自分の淹れ方や知識は本当に楽しいのか?」を確認する最適な一冊となりました。
最後に、こちらの本はブログやSNSを通じて交流させていただいているミニマログさん(@minima_log)の記事がきっかけで手に取ることとなりました。
● 偏愛アイテムを語るvol.7「CHEMEX(ケメックス)ハンドブロウ」
コーヒーライフを大きく変える一冊に出会うことができ、本当に感謝です。
それでは、よいシンプルライフをお送りください^^
極端に濃く淹れたり薄く淹れた場合は別ですが・・・